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2020-6-12

“匂う” デザイン。アニメ「イエスタデイをうたって」の“キャラクターデザイン”を紐解く

監督・シリーズ構成・脚本 藤原佳幸
 × 
キャラクターデザイン・総作画監督 ⾕⼝淳⼀郎
(動画⼯房)

聞き⼿:古屋遙

冬⽬景先⽣原作の⻘春群像劇がアニメ化されるにあたり、「登場⼈物」たちはどのように形になっていったのか?魅⼒あるキャラクター造形と作画の裏側に迫りました。

「キャラクターデザイン」とは?

⾕⼝ キャラクターに関しては原作ありきなので、原作を壊さないように、「原作の良さ」を視聴者の⽅に伝えるのが仕事だと思っています。そのキャラクターのらしさを考えることですね。まぁ、出せたかどうかは分かりませんが。

藤原 出せてます、⼤丈夫です(笑)⾃分にとって、キャラクターは単体で成⽴しないので、誰と誰がどういう事をして…っていうのが演出としては楽しい部分なので、そこらへんを作画さんと共有して同じような⽬線で楽しんで作っていけたらなあと思っています。『イエスタデイをうたって』の場合は、恋愛の…⼼の負い⽬を持った上での相⼿との向き合い⽅とか、そういった所を描いていくのが楽しかったな、と思います。

どのような流れで製作に⾄りましたか?

藤原 最初、企画書に「動画⼯房」と「⾕⼝さん」の名前があって。

⾕⼝ 通常、タイトルに誰の絵が合うかどうかという判断が最初にある事が多いんです。(動画⼯房の)鎌⽥プロデューサーから作品のテイストに絵柄が合うんじゃ無いかってふられたのが始まりです。

藤原 僕に関しては、発注依頼の前段階に、”熱意”などを含めた微妙な探りがプロデューサーから⼊りまして(笑)

⾕⼝ (笑) 藤原さんがどうしてもやりたい作品があるからって。「ぜっったいやりたい」って。

藤原 はい、押し切りました(笑) ⾕⼝さんとはここ(動画⼯房の会議室)で最初のキャラ打ちをしましたね。

⾕⼝ 原作内でも絵柄に変化があるので、どの辺の絵を起こして⾏こうかっていう話を最初はしましたね。

藤原 原作5〜6 巻の絵柄が個⼈的にいいな〜っていうところから、…どうでしょうか?とお願いして。シワの付け⽅など、原作の特徴について話をしていきました。その前に冬⽬先⽣にもお会いしていたので、冬⽬先⽣のこだわりのポイント、…例えばエンジニアブーツとか、⿊い部分の⾊味とかを出していけたら、という話をしました。髪の⽑の⾊をどうするかとか。

⾕⼝ テクニカルな内容が多かったですね。例えば肩にカラスがいて、髪の⽑の⾊とカラス
の⾊が同化しちゃうところをどうしたら良いのかとか。

藤原 ハルの頬っぺたにかかる髪の⽑はどうすんの?とか。ほんとテクニカルな事しか話していませんでしたね。(笑) キャラの内⾯がどうのこうのは原作に描かれているから!とか思っちゃって。

⾕⼝ うん。原作⾒ながらここはこうだからどうする?っていう。⼤本はもうあるので。

藤原 あとは服装とか当時の流⾏とか、個⼈によって変わる部分もあるので、「ぽい空気感」表現しようっていうのがあって。原作の、登場⼈物が携帯電話を持っていない設定とか、2000年あたり何が流⾏っていたかとか、そういうことを結構話しましたね!

⾕⼝ 時代背景についてですね。僕なんかは⼤学卒業して⼊社したぐらいの時期でしたね。携帯は無かったけどPHSはあったよねっていう話とか。街にはそこら中に公衆電話があったり、電話ボックスがあったよねとか。

藤原 ポケベルはどうでしたっけ〜とか話していましたね。(笑)冬⽬先⽣から⾔われた世⽥⾕区下北沢らへんの空気感とか。下北沢駅前も今では随分変わってしまったじゃないですか。監督として、このタイトルとして、厳密にどこまでやっていくかというのを探っていかないとカロリーがすごく上がってしまうなとは思ってました。

アニメのキャラクターデザインはどのような経緯で形になっていきましたか?

⾕⼝ まず、どの辺の絵をとるかを決めました。原作でも最初と最後を⽐べると徐々に絵が完成されていく感じがあるんですよ。6巻で完成されている感じがしたので、それ以降の絵を参考にしました。

藤原 後半になるとリクオの⽬のハイライトが無い絵柄が増えるのが印象的なんですが、アニメにするとちょっと危ない描写になる可能性があって。まだギリギリ⽬にハイライトがある5、6巻の、⼤学卒業したてのやんちゃな感情とか鬱屈しているエネルギーが残っている、そういう感じがあっていて欲しいなあと。

リクオは後半になると、榀⼦に振り回されて「ぁぁああ」ってなったり、ハルのことで悩んでいたり、悩みの質が前半とは変わってきていて、冬⽬先⽣の絵からは、そういう雰囲気を感じていました。アニメの構成的にも5、6巻くらいのエピソードがドラマとしてはピークになっていくので、そこをメインに作っていきました。

そこからは⾕⼝さんに⼀稿描いてもらって、⼆稿⽬でもうぴったり決まっちゃった感じですよね。頭⾝これくらいで〜とか。

⾕⼝ 最初もっと頭⾝⾼かったんですよね。

藤原 頭⾝が⾼くなればなるほど、⽇常芝居が難しくなるんです。重⼼をきっちりさせてポージングを描いたりするのが難しくなってくる。特に腰とかお腹周りにはそういう難しさが出やすいと思っていて。芝居をさせやすいバランスもありつつ、原作らしさもある、いい塩梅を探っていきました。

冬⽬先⽣と話してか、⾃分の解釈かは分かりませんが、リクオはカッコ良くなりすぎず野暮ったい感じを。その代わり、浪くんは⼩顔でシュッとしていて、かっこいい、おしゃれな感じにして、差を出したり。この作品の中で”描き分けの差”をどれだけ出せるのかとかいうのを…丸投げですが(笑) ⾕⼝さんにお願いしました。

キャラクターそれぞれの性格は、デザインにどう現れましたか?

⾕⼝ ⾝⻑やポージング。リクオは猫背気味に描いたし、ハルは元気潑剌な感じで。榀⼦は
…うーん

藤原 ⼥性っぽい…柔らかい…

⾕⼝ ……むっつり

藤原 !?(笑)むっつりの後に来るのが個⼈的にはスケベしかないんですけどね!?
内⾯的な⼥性なんですかね。おしとやかともちょっと違うんですよね。

⾕⼝ ⼥の⼦で三⽩眼ってあまり描いたことがなくて。榀⼦って感情的に何を考えているのかよく分からないタイプなんですよね。

藤原 コンテ段階でも汲み取って描くのすっごい⼤変でした(笑)

⾕⼝ 榀⼦はあまり⽬開かないし、驚き⽅も普通のアニメキャラとは違うし。

藤原 分かりやすくしすぎちゃうとこの作品らしくなくなるんですよね。その分リクオとハルはちょっと崩しても良いかな、という感じ。ただ、リクオは崩して良い相⼿と崩せない相⼿っていうのがいて。榀⼦の前ではストーリー上崩せないんですが、ハルとは歳下でフレンドリーに気安く喋れるから崩しても⼤丈夫とか。コンテや作打ちではそんなことを話していました。

⾕⼝ 榀⼦に関しては、かなり難しかったですね。感情をどう描こうかっていうのもありますが、キャラの造形⾃体難しかったです。⽴体的に難しいんですよね。ハルみたいに嘘つける髪型ではないので。

藤原 2話辺りから、ちょろんっていう榀⼦のほつれ⽑を積極的に使っていきたい!ってなりました。あれがないとまん丸すぎて、少しバランス崩れると似なくなるんです。

⾕⼝ 何が正解なのかよくわからないですが…作画で⼭野さんって⽅がいて。彼の描く榀⼦…すごくシンプルで声や芝居と合っていたなと。素直に感情表現していた感じがします。僕みたいにいじいじやっていたら画⾯に上がった時よく分からない感じになってしまったので…。

藤原 そんなことないですよ!?(笑)

⾕⼝ いやいやいや。(笑) 他社作品もやってたりするとその感じも出てしまったりするんですよ。掛け持ちでやっていても全然違うタイプのキャラだと⼤丈夫なんですけど、やっぱり⼈間同⼠だとぼーっとしているときにそれが出たりとかします。

「変化」していく榀⼦の⾵貌。どう描こうと思いましたか?

藤原 シナリオの話になってしまうんですけど、榀⼦が髪の⽑を切った理由って何なのだろうかっていうこととか、ハルが嘘でメガネをかけていたところから外したのはなにがきっかけだったのか。作中でそんなに語られてないんですよね。

じゃあ、アニメーションでやるならその辺りの意図を付けてやっていきたいなあって。髪の⽑切るって⼼機⼀転が明確な理由の⼀つとして思い当たるのですが、じゃあ、何で⼼機⼀転したのか。という所を、2話の榀⼦回で、内⾯的なところに踏み込む要素として「髪の⽑を切る」、という要素を取り⼊れました。

新任で⼊った1年⽬の時に中退させてしまった⼥の⼦(ハル)がいる、というのに対して「あのとき私はああしていれば…」と2年⽬はその反省を⽣そうとしての⾏動なのか、或いは他にも理由があるのか…。1つの理由で髪の⽑を切った訳では無く、複合的な理由なんじゃなんじゃないかと思いつつ、そういうのを演出として盛ってみました。

12話の間で時間が経過していきます。意識された点はありますか?

⾕⼝ ⾃分の中で特に時間の境⽬はなかったですね。キャラクターによって頭⾝とかも違うと思いますし、元々、厳密に何頭⾝まで、というのは決めてなくて。なんとなく、雰囲気でいきました。

藤原 冬⽬先⽣と⾕⼝さんは同じ感覚なのかなあ、と勝⼿ながら、思っている所があって。
設定画をカチカチに決めるというよりも、その時に美しいとか、表現として適切なこととかをやっていけば良いんじゃないの?ていう感覚なのかなと。「でもそれって絵の描ける⼈の発⾔だよね!!!」って思っていましたけれども(笑)そういう⾵にアドリブきかせるっていうのは凄く難しいなって思います。

⾕⼝ 原作の榀⼦とか表情に⾊気があったりするんですけれども、榀⼦本⼈はそんなつもりは無いじゃないですか。そんな⾊気を出すようなキャラでもないですし。
じゃあどこでそういう表情を出せばいいのかな、と。
結局アニメキャラになった時に普通のキャラになっちゃうんですよね。
リクオに攻められても拒否したり、ウブな感じがあったりしても、漫画だと⾊気があるんですよ。そこをアニメでやるとぼんやりしたキャラになってしまって…難しい。

藤原 今回、榀⼦を描かないことには成⽴しないタイトルだったので、丁寧に描いていきました。演出としては⼀応、榀⼦の話している⾔葉が嘘だったり、本⼈も無⾃覚なので嘘とも⾔い切れないんですけど、それって視聴者に伝わるんですかねえ、というようなことを考えました。

アニメーションの場合、表現したことが真実になってしまうじゃないですか。私はあの⼈が好きです、と⾔えばそのまま額⾯通り「好きです」になっちゃう。明らかに”態度”で「違う」ってことをしないと、伝わりづらい。榀⼦の場合、最後の最後で真意が分かるけれど、それすらあやふやである所が、このタイトルの肝なのかなと。

「変わりたいけど変われない」、と榀⼦本⼈は⾔っているんだけれども、本⼼は変わりたくないんじゃないか。本質的には保守的な..今平穏な⾃分に満⾜はしているがちょっとした焦燥感があって、そこからどう⼀歩踏み出そうかな、と悩んでいて。そういう本性がリクオのところにポッと出てきたり。

恋愛に対しても榀⼦が完全にお⾺⿅な⼦であったら天然キャラとしてでよいんですけれども、⽇常をちゃんと⽣活していて、学校の先⽣ということも合って、おバカな⼦では無いじゃ無いですか。にもかかわらず、そのギャップとして恋愛に関しても全く免疫も無く、本⼈もそこを考えようとしてない、考えたくない。

そんな⾵にこのキャラクターの⾯⽩味を描いていけたらいいなあ、と思ってました。それが…伝わって欲しい…!!!(笑)

台詞にするととてもチープになってしまうんですけど…、原作の絵の魅⼒とバランスをとりつつ、表情と動作で出せたら良いなと思いました。アニメーションは…難しいですね (笑)

特別に「原画」を⾒せていただきました!おぉ…宝の⼭が!!

藤原 下の絵がちゃんとキャラクターの導線として成⽴しているかを確認し、作監はそれに合わせて統⼀感をもたせるベく修正指⽰を⼊れていきます。例えばシワの⼊れ⽅だったり輪郭のディテールだったり。下の⻩⾊紙のものが、作監による指⽰です。指⽰前と⽐べてみた時に変化が少ないものは、「良い⼀原」という証拠です。

藤原 これとかは、頭⾝に⾕⼝さんの修正が⼊っていますね。(原画を⾒ながら)

⾕⼝ リクオ的な希望を描き加えたんですよ。「流し⽬でハルを⾒るように」って。

藤原 あ〜話しましたね!真正⾯からハルを⾒ることはほぼ無いんじゃないかな、と。

⾕⼝ 横⽬でチラッ、という感じでね。

藤原 こういう⾵に“リクオらしさ”を出すってのが総作監の仕事なんです。
最初にこうですよっていう⽅向性を⽰していくと他の作監や作画、原画マン達が「このタイトルはこの癖に対してこうすれば良いんだ」って理解してくれて。

⾕⼝ で、僕は楽ができるんですけれども。(笑)

藤原 (笑) 最終話とかは突貫で、みんなで寄ってたかってやった気がするんですけど(笑)、そんなに崩れていないのは、その蓄積があるからですね。今回は、1話に⼊ったスタッフはほぼ最後まで付き合ってくれました。作監、動画、作画だけで150⼈くらい関わっています。

⾕⼝ 本来であれば作画監督はそれを全部⼀⼈で統⼀させないといけないんですよ。それにはやっぱりスピードと画⼒と技術、あと、判断⼒が必要です。これはあり、なし、を経験を積んで判断しなきゃいけない。アニメIQというか…そういうのが⾼く無いと務まらない。

藤原 『イエスタデイをうたって』はいい意味でちょっと⾯倒くさいタイトルですよね。表情とか。ポージングとかを含めて、気をつけなきゃいけないポイントが多かったので。

イエスタデイをうたってに⾒られた「⼿作業」の妙について。

藤原 今思っているのが、⼿描きのアニメーションをいつまで作れるがわからないなー、と。⼦どもの世代に「⽗ちゃん達、あれ1枚1枚描いてたの!?」「描いてたんだよ〜」って(笑) そのうち、「それを業界1 万2 万⼈規模で500 タイトル動かしていた時があるんだよ!」と。
まあデジタルで作画といっても、紙を使わないだけであって、⼿で描いているということには変わりないんですけどね。

⾕⼝ 3D キャラとかありますけれども、表情にしても、動きにしても、僕はまだ、感情とか表情を正確に表現するまではいってないかなと思ってるんです。ある程度崩れたほうが味が出たり、動きにしても、もたついたほうが味になったり。

藤原 そうですね。教科書通りのものを作っていてもあまり引っかからないんですよね。(笑)そん
な中、1 カット1 カット調整できるっていうのはとても贅沢なつくりですよねえ。⼿で描くのと同じくらいのカロリーのものを3Dで表現できたら同じ印象になるのかもしれない、とは思います。

スタジオイースターさんも、効率化も必要だったけれどタッチを描き直したりなど、あえて⾯倒くさくする⼯程が凄く良かった。とおっしゃっていました。

藤原 ありがてぇ(笑)!

それでいうと顔とか洋服の「シワ」とかもこだわりました。
⼿とか、「そこのシワ描いていいんだ」って、後半になればなるほどディテールが上がっていきます。タイトルにもよるんですが、動画⼯房系だと可愛い⼥の⼦が出てくる作品が多いので、シワを⼊れると⽣々しくなりすぎちゃってファンタジー感が消えてしまうんですよ。

⾕⼝ そういうタイトルはつるんとした質感の⽅がウケますよね。今回みたいな「匂い」のするような作品だと、描き込んだ⽅がより良さが出る。

「線」の描き⽅についてこだわりを感じています。

⾕⼝ 主線がギザギザって途切れ途切れになっているのは、実は「撮影の処理」なんですよ。後からのせています。セルロイドに転写して直接⾊を塗っていた頃のフィルム撮影を狙ったというか。

藤原 作画の時点で⼤きく途切れさせてもいるんですが、意図的じゃない部分もそうなるように処理しています。撮影処理前の素材はデジタル感が残っている絵なので、怖いんです。(笑)本撮になっていない映像をみると、「はぁー…雰囲気が全然出てない…」って(笑)

⾕⼝ 漫画もあえてギザギザ、タッチが多いじゃないですか。それをどう出していこうか、撮影で⾊々テストした結果、これが採⽤になりました。

藤原 線になる部分を⾃動的に抽出して、その部分だけ処理かけて、撮影処理してます。
フィルターは⾊々検証もしました。まず、⾕⼝さんキャラデザの別作品の静⽌画でどう⾒えるのかテストしました。「実線を重ねすぎて⼥の⼈の⽖がつぶれてしまったり、汚く⾒える可能性があるんですけれども」とかいう提案を受けつつ、⾕⼝さんに主線処理のいるか要らないかのジャッジをしてもらいました。

⾕⼝ そういう綺麗さは逆にこの作品はないほうがいいかなと思い採⽤しました。結果、漫
画の雰囲気を出す為に適してたと思います。

藤原 動画⼯房では初めて試した処理でしたね。

⾕⼝ あえて世の中4k、8k..となっている中逆⾏していくという(笑)⾒えすぎても困るでしょ?っていう。汚くていいじゃんって、雰囲気出てれば(笑)”匂いのする画⾯”ができればいいなと思ってました。初っ端のリクオの部屋とかすごい匂いますよね?

藤原 ラーメン…(笑) あっ、そういうにおいじゃなくて…?(笑)

⾕⼝ (笑)

藤原(1話冒頭を⾒ながら)このコルクボードの中、とか。汚くする為に、わざと汚く描き
込まなきゃいけなかったんですよね。

藤原 リクオの顎の下の⿊い所なんかも、実は線でタッチつけた所を潰したら真っ⿊にな
るんですよ。塗った訳では無く、撮影処理で⿊くなっています。ランダムなんですけれども、
そのランダムさがよかったなと思います。

気に⼊っているシーンはありますか?かなりマニアックなパーツなんですが..リクオの
デニムの裾の切れ⽬とかにも愛を感じました。

藤原 だって原作がそうなんですもん(笑)!

⾕⼝ これも…⼤分匂いますね…(笑)

藤原 ⽷がほつれているから⽩っぽくする、とかいう塗り分けをやるかやらないか話をしましたね。

⾕⼝ 冒頭シーンで僕は満⾜しましたよ。匂うなあ…って。これでもう成功したなと。(笑)

藤原 ある話数の、電話のコードくるんくるんしているとかも気に⼊ってます…。電話する時のポージングとか。電話するときに正座とか、僕結構好
きですね。可愛いですよね、不器⽤だなあ。
あとは、最終話。僕指⽰していないんですがすごい動くところがあって。

⾕⼝ あんなに動くとはね。(笑)

藤原 あれ⾯⽩いっすよね(笑)動かしてくださいとは実は⾔っていないんですけれども。
でもキャラクターのことを考えるとなるほどなと、上がってきたものを⾒て僕はただ「……ありがとうっ…!」ってなりました。(笑)

最終話は…実はクレジットに乗っけてない仕事もあって..。

⾕⼝ ⾃分で原画も1部やられたんですよね。

藤原 はい(笑)

お⼆⼈にとっての作品の⾒所をぜひ教えてください。

藤原 ⽇常芝居を頑張ったんで、そこらへんを⾒ていただけたらなあと思います。あとは…⾐装も凄〜い点数を発注かけているので注⽬してください。

⾕⼝ そう、毎回違う。

藤原 はい、着回しはしているんですけど、制服みたいなのが無いのと、季節の変化もある
ので。

⾕⼝ (⾒所は..)僕はもう⼀貫して”匂い”ですね。匂いを感じて欲しいです。

藤原 (脚本の)⽥中さんからは空気感が欲しいと⾔われて、⾕⼝さんからは匂いが欲しいと⾔われ…どうやって出すんだ!っていう(笑)

⾕⼝ …空気アニメ?

藤原 いやいやいやそれネガティブな要素じゃないですか..!?(笑)

⾕⼝ キャラとキャラの空間、距離感を描いていると思うし、それをするには背景もキャラ
クターも⽴体的じゃないといけない。そんなところも⾒てもらえればと思います。

最後に、キービジュアルについて。⽅向性を幾つか打ち合わせていく中で、写真という要素や群像劇というテーマを考えて、ギャラリーにたたずむ4⼈を描いていただきました。4⼈の佇まい⽅はどのようにして考えられましたか?

藤原 視線はみんな違う⽅向を⾒ていた⽅が緊張感あって良いのかなと。
榀⼦は何処を⾒ているのか分からないんですよね。

⾕⼝ 描いたのがアニメ本編の作業が全て終わった直後だったので、全部終わった後だからこそ描けたっていうのが⼤きいですね。本編をやる前だと登場⼈物の関係性がよく分かっていない状態なので。普通キービジュアルって本編完パケ前に出すものじゃないですか。

藤原 ⼀番いい時期にかけた?

⾕⼝ はい、これこそ僕が描きたかった榀⼦の顔です。(笑)表情や⾊気も思った通りに表
現できたと思います。やっぱり下に絵があるとなかなかそこまでできないので。本編の作業
が終わった直後だったので、描けたのかもしれないです。

ありがとうございました!

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